マザリーズとは?
「〇〇ちゃ~ん、ご・は・ん ですよ~」と、母親が (1)高いトーンで、(2)ゆっくりと、(3)抑揚をつけて 赤ちゃんに語りかける話し方を マザリーズ (motherese) といいます。また、「ワンワン」を覚えた子供に対して「かわいいワンワンだね!」と(4)新しい言葉を追加して、自然と子供の言葉のレベルを引き上げようとすることも特徴の1つだと考えられています。
マザリーズはアメリカの文化人類学者であるチャールズ・ファーガソン氏が1966年に発表した論文で広く知られるようになった言葉で mother + ese という造語です(Japaneseのようなものですね)。直訳すれば「母親語」ということになります。
驚くべきことは、マザリーズは全世界どこの言語圏、民族でも共通してみられる母親の普遍的な話し方だということです。母親は特に意識しなくても、赤ちゃんに語りかける際には自然にこの話し方をしてしまうのです(実際には母親だけでなく父親や祖父母などにも見られることがあります)。
たまに「マンマ」とか「ブーブー」とか「ワンワン」といったベビートーク(幼児語)をマザリーズと誤解している人がいますが、ベビートークは言語圏や文化圏によって存在する地域としない地域があるので、マザリーズとは根本的に異なります。
マザリーズの効果
マザリーズの特徴である (1)高いトーンで、(2)ゆっくりと、(3)抑揚をつける、(4)新しい言葉を追加して言葉のレベルを引き上げる 話し方には赤ちゃんの言語発達の点で以下のような効果があると考えられています。
- 赤ちゃんの関心を引き、言葉への注意を持続させる
声のトーンが高くなることで、ママの言葉に注意を向けることが多くの研究で実証されています。注意を働かせて言葉を聞くことで、赤ちゃんは言葉を吸収したり、意味を推測しやすくなると考えられています。 - 言葉を聞き取りやすくなる
言葉の速度もゆっくりになることで赤ちゃんにとって聞き取りやすくなります。 - 言葉をマネしやすくなる
高めの声で、ゆっくりと、抑揚のついた言葉は歌のような音楽的な要素を持ち、赤ちゃんにとってマネしやすい言葉となります。そもそもゆっくり話すのは赤ちゃんの未熟な口の筋肉でもマネが出来るようにしていると考えられています。 - 新しい言葉を自然と覚えられる
赤ちゃんは自分が知っている言葉が形を変えて少しだけレベルの高い言葉になることで、その新しい言葉の意味を推測しやすくなります。それが言葉の発見を促し、子供の言葉のレベルを引き上げるのです。
母親が本能的に行っているマザリーズは、赤ちゃんに効率良く言葉を身につけさせる効果のあることが最近の研究でわかってきました。もし母国語と同じように英語を身につけさせたいのであれば、マザリーズが用いられた英語をインプットしてあげると効率良く吸収してくれるかもしれません。
以上、ママから赤ちゃんへの特別な話し方 「マザリーズ」の効果でした!
【監修】
ドイツ・ハノーバー国際神経科学研究所(INI)脳神経外科 名誉教授
発達脳科学研究者 大井クリニック院長大井静雄 (医学博士)
大井クリニック:https://oi-clinic.jp/clinic.html